こっくりとした濃厚な色彩が小さいながら華やかなお雛様です。
装束も艶やかで、後ろ姿の「紅」と「紫」の結び飾りがお似合いです。
「彩雛(いろどりびな)」という名前のとおり、
鮮やかで深みのある色彩が美しい雛飾りです。
お雛様の装束は、平安時代から永きにわたって女性の憧れの色の一つ「紅(くれない)」。
当事の紅花染料はほとんどが舶来のため、
高級かつ貴重品のため同じ目方の金と交換されたほど。
濃く染めるには何度も染めなければならず、
濃い紅色は高貴な身分の人々にしか着用が許されなかったそうです。
「韓紅花(からくれない)」という色名も平安時代からの色名で、和歌にも多く読まれています。
これは「大陸より渡ってきた舶来の色」の意味と響きの美しさを、
鮮やかな色彩に込めたものです。
現代でいうなれば、「フレンチブルー」や「イタリアンレッド」のような感じでしょうね。
韓紅花が出てくる、有名どころの和歌ですと・・・
人しれず思へば苦し 紅くれなゐの 末摘花すゑつむはなの色にいでなむ
古今集より 題しらず よみ人しらず
もはや苦しさに堪えきれない、紅あざやかに咲く末摘花のように、
恋心をあらわにしてしまおう・・・という意味です。
なんとも、せつなく情熱的ですね。
末摘花は・・・、紅色についてはまだまだ語りたいのですが、きりがないのでまたの機会に。
お内裏様は「紫」と「深緑」に「黒」、そこに色とりどりの華やかな花々が咲いています。
紫は「色」といえば紫色のことをさしたほど、色の中でも別格の色です。
染料の紫草の白い花が、「群れて咲く」ことから「群ら咲き=むらさき」となったともいわれます。
三人官女の装束や屏風に張られた花模様の友禅柄、
ぼんぼりに至るまで「華やかな彩り」を楽しめる雛飾りです。
コンパクトでとても可愛らしいお品ですので、リビングにまた玄関に、
季節を楽しむインテリアとしておすすめです。
【お細工物について】
ちりめんの端切れを使った様々な物を「お細工物」といいます。
古くは大奥から始まり、押し絵や摘み細工、切嵌(きりばめ)、木目込(きめこみ)、
裁縫などその手法は様々です。
少し前までは、どの家庭でも少なからず行われていました。
人形細工もその一つですが、小さな布も大切に、「もったいない」と生かす日本人の知恵ですね。
こちらで紹介するお飾りも、すべて手作りのため、描き絵の表情や友禅柄の出具合などに
違いがございます。
商品画像はできるだけ実商品に近い色に合わせておりますが、ご覧になるディスプレイのモニターの
環境により、実際の色と多少異なる場合がございます。
あらかじめご了承ください。
今では自分でつくるのはなかなか大変ですが、京都で一つひとつ手作りされた細工物のぬくもりを、
ぜひ身近に置いて「ほっこり」癒されてください。